根の治療

根の治療って何?

『根管治療』とは、いわゆる「根っこの治療」「歯の神経の治療」と呼ばれるものです。

根管治療には『抜髄』と『感染根管治療』とがあります。

『抜髄』は、虫歯が進行し、神経まで達して炎症を起こしてしまった場合に行う、神経を含む歯髄を取り除く治療です。
『感染根管治療』は、さらに進行した虫歯・歯が折れたなどの外傷・歯周病・以前治療した根管の再感染など、さまざまな原因で歯の根っこが細菌に感染してしまった場合に、細菌や汚染物を取り除くために行う治療です。
細菌が根の先にいるため、治療期間が長くなる傾向があります。

いずれも、痛みを取り除いたり、歯を残すために大切な治療です。

歯の構造(根管と歯髄)

歯茎より上に露出している部分を『歯冠』といい、歯茎に埋まっている部分を『歯根』といいます。

『根管』とは、「歯根管」ともいい、歯根の中軸にある細い管状の部分です。

根管の中には神経や血管を含む『歯髄』という組織が入っています。

歯の構造(根管と歯髄)

治療の順序としては、まず麻酔で痛みを感じなくしてから、歯に穴をあけ、歯髄(神経や血管を含む部分)を露出させます。
このとき、虫歯に侵されている歯質もきれいに削って取り除きます。

そしてファイルやリーマーという、まち針のような形をした器具で、細菌に感染した歯髄を取り除いていきます。
さらに薬も使ってきれいに洗浄・消毒します。

この後、根管の中に薬を入れた状態で、仮のふたをして1週間ほどおいておきます。

1週間おきに薬を交換し、完全に根管内をきれいにしていきます。

この間、何度か通わなくてはいけないのですが、途中で治療を中断したり、期間をあけ過ぎてしまってはいけません。
せっかく少なくなってきた細菌が増殖し、ふりだしに戻ってしまいます。

根管内が完全にきれいになったのを確認したら、最後に生体に安全な歯科治療専用のシーリング剤を根管内に充填し、再び細菌が根管内に入らないようにします。

これで根管治療は完了です。

この後、根管に芯を立て、土台を作ってかぶせを装着するようになります。

歯の構造(根管と歯髄)

治療期間は?

根管治療自体は、早い場合には2〜3回、長い場合には1年以上かかってしまう場合もあります。

なぜ治療期間に差が出るのかは、感染の状態や細菌の種類・使用する薬との相性・患者様の体調や免疫力などさまざまな理由が考えられます。

疑問に思ったときは、担当の歯科医師に遠慮なくご質問ください。

治療の痛みは?
必要に応じて麻酔を使って治療しますので、通常は痛みを感じずに治療することが出来ます。ただし、治療の内容や症状によっては、麻酔が効きづらいことやできないこともあります。

治療しないとどうなるの?
感染が拡大してしまうと、痛みや腫れが起きたり、最悪の場合は抜歯しなければならなくなります。
口の中だけではなく、リンパ節の腫れや発熱など全身へ影響が出ることもあります。
自然に治癒することはないので、早めの治療が必要です。

根の治療のまとめ

歯髄を取り除いた歯(神経を抜いた歯)は、痛みを感じないため虫歯の進行に気付きにくかったり、細菌の再感染が起きやすくなったり、一度削って穴をあけているので割れやすくなるといったデメリットがあります。
ですが、歯の神経は一度炎症や感染を起こすと自然治癒することはないので、虫歯が神経まで達した場合や根っこの細菌感染を起こした場合には、歯髄を取り除かねばならない場合があります。

そうなると上記のようなデメリットに加え、治療期間も長く、費用もかかることになります。

日頃のケアに気を付け、虫歯や歯周病を予防すること、定期的に歯科医院へ通って早期発見・早期治療に努めることが大切です。