親知らずについて
親知らずとは?
上下左右の一番奥に生える8本目の歯を「親知らず」と言います。おおよそ20歳前後で生えてきます。親知らずは「智歯(ちし)」や「第三大臼歯」と呼ばれることもあります。
人の歯の本数は、一般的に成人の場合は左右で16本、上下で32本の歯が生えることになっています。ただ、近年は大昔の人間と比べてあごが小さくなっているため、左右に7本ずつ、上あご、下あごに14本ずつしか生えるスペースがない人が多いのです。
親知らずが生えるスペースがない場合、親知らずが半分だけ出た状態、あるいは全部埋まったままの状態(埋伏歯)の場合があります。こうした親知らずは、とても汚れがたまりやすく虫歯になりやすい環境なのです。
虫歯が進行すると口を開けにくくなり、また智歯周囲炎という炎症を起こすことも少なくありません。
埋まったままの親知らず(埋伏歯)を放置すると?
「虫歯にもならないしそのままでいいのでは?」と思うかもしれませんが、歯は上に生えようとする習性があり、体調が悪い時などに歯が隠れている歯肉のあたりが腫れてしまう方もいます。
また、歯の矯正をしている人に多いのですが、きれいに並べた歯を親知らずが一番後ろから押してしまうことから、親知らずは抜いてしまうことが多いのです。
親知らずが気になる方へ
口腔外科に精通した歯科医師が在籍
当院には、親知らず抜歯をはじめ口腔外科においても豊富な治療実績を持つ歯科医師が在籍しています。
一般的な親知らずの検査・抜歯治療はもちろん、幅広い症例に対応可能です。
特に埋伏歯の抜歯は、親知らず抜歯の中でもとても難しいものです。手前の歯を押すように90度傾いて水平に生えているケース(水平埋伏歯)や、下あごの場合は神経との位置関係を充分に把握した上で行う必要があります。
当院では症状に応じてCTを用いた診査を行うなど、的確な診断を行なっております。特殊な症例についても専門医療機関と連携し、最適な治療をご提供することが可能です。
「自分の親知らずは大丈夫?」「抜いた方がいいのかな?」など、親知らずで少しでも不安や疑問をお持ちの方は、お気軽に当院へご相談ください。
親知らずでよくあるお口のトラブル
歯肉が腫れる(智歯周囲炎)
斜めに生えたり、真っ直ぐでも途中までしか生えてこない親知らずの場合には、歯と歯肉の間に食べかすやプラーク(歯垢)が溜まりやすい状態にあります。細菌が増殖することで、親知らずの周りの歯肉が炎症する(智歯周囲炎)場合があります。
虫歯リスクが高まる
歯ブラシがうまく届かず、親知らずと手前の歯(第二大臼歯)の隙間にも汚れが溜まりやすくなってしまうため、親知らずの隣の歯まで虫歯になるケースもあります。
歯根の吸収が生じる
手前の歯に食い込むように生えている親知らずの場合、その手前の歯の根の部分が溶けてしまうケースがあります(歯根吸収)。症状が進行すると、親知らずだけでなく手前の歯まで抜歯が必要となる場合もあります。口臭が強くなる
正常に生えていない親知らずの周辺には汚れや細菌が滞り、不衛生になりやすい状態にあります。そうして生じた虫歯や歯周炎が、口臭の原因になってしまうことがあります。必ずしも抜歯をしなくても良いケースとは?
以下のような状態の親知らずであれば、必ずしも抜歯をする必要はないと考えられます。
- まっすぐ正常に生えている親知らず
- 汚れを適切に除去できる状態
- ブリッジに利用できるケース
- 矯正治療で利用できるケース
当院では、患者さまの現在のお口の状態だけでなく、将来的なリスクも考慮しながら、抜歯が必要かどうかの診断をしております。治療内容や費用などについても丁寧にご説明し、痛みに配慮した抜歯治療を行なっておりますので、安心してご相談ください。
抜歯後の注意点(痛み、腫れ、お食事など)
痛み
麻酔により抜歯の前後は痛みを感じることはありません。治療後に麻酔が切れ始めると徐々に痛みを感じるようになります。個人差がありますが、当日麻酔が切れた後から翌朝にかけてが痛みのピークとなります。お渡しする鎮痛剤をしっかり服用しましょう。お痛みが強ければ追加で鎮痛剤をお渡しすることもできますのでご相談ください。
腫れ
抜歯後の腫れは抜歯から半日ほどしてから始まることが多く、個人差はありますが、一般的には2〜3日程度でピークを迎えます。腫れがなかなかひかない場合、特に内側に腫れる場合は危険なケースがあるため、腫れが長引いたり強いと感じる際はご連絡ください。
出血
抜歯直後から翌日くらいまでは唾液に血が混じることがあります。20〜30分程度ガーゼを噛んで圧迫止血を行なってください。出血が止まらない場合はご連絡ください。
神経マヒ
ごく稀に、親知らずの根の先端近くの口唇の感覚神経との位置関係により、抜歯後に一時的なマヒを生じることがありますが、当院では必要に応じてCTによる診査・診断を行ない、より安全な抜歯を行っています。
抜歯の穴
抜歯後は歯が生えていた箇所に穴が開いている状態になりますが、しばらくするとジェル状の血の塊(血餅)ができます。穴を保護したり治癒を促すものですので、なるべく穴から飛び出さないように注意しましょう。穴に食べ物が入り込んだ際も優しくゆすぐ程度にしましょう。
お食事
抜歯後の出血が完全に止まっていれば、30分後程でお食事をしていただけます。(症状にもよりますので、医師の指導に従いましょう)。しばらくは麻酔が効いているので、食べ物の温度には注意し、また誤って頬の内側を噛んでしまわないよう、ゆっくりと食べるようにしましょう。
お風呂
体が温まると血行が良くなり出血しやすくなるため、抜歯当日は長湯は控え、シャワー程度で済ませることをおすすめします。
喫煙、飲酒
出血が長引いたり、傷の治りが遅くなる場合があるため、抜歯したところが落ち着くまでは喫煙や飲酒は控えたほうが良いでしょう。
親知らずの生え方について
親知らずは第3大臼歯(6才臼歯の2本後の歯)、中央の歯から数えて(抜いてある歯やもともと生えてこなかった歯を含め)8歯目の歯のことを言います。永久歯の中で一番最後に生えてくるためスペースがなく、横や斜めに傾いたり、骨の中に埋まったまま生えてこない場合もあります。
親知らずの生え方別の治療方法
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まっすぐ生えるケース
親知らずがまっすぐ生えていて、上の歯と噛み合っているのでちゃんと磨ければ残せるケースです。
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水平埋伏のケース
親知らずが横を向いて埋まっていて隣の歯が虫歯になったり、清掃性が悪いために炎症を起こして腫れてしまうリスクが高いため、抜歯をした方が良いケースです。親知らずと神経が近い場合は、安全のためにCT撮影をして位置関係を確認します。
親知らずは抜いた方が良い?
親知らずが生えてくる場所は歯ブラシが届きにくいので、細菌が繁殖しやすく、虫歯になりやすい状態です。また、親知らずが無理に生えてきて隣の歯を圧迫していたり痛みがある場合や、衛生面でトラブルを引き起こす可能性がある場合は、抜歯をした方が良いケースが多くなります。
親知らずが生えてきてもトラブルを起こしていなければ、必ずしも抜歯をする必要はありません。
親知らず抜歯後の
痛みや腫れについて
親知らずだから必ず抜歯後は腫れるなどということはありません。事前の的確な診断とプランニングで効率的に抜歯を行うことで、周りの組織の侵襲を少なくし、腫れや痛みを可能なかぎり少なくすることが重要です。
また、痛みの感じ方にも個人差はありますが、術後にお渡しする痛み止めでほぼ改善されますのでご安心ください。